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2009年8月26日水曜日

平和宇宙戦艦その3

 ども、こんにちは。
今回は「平和宇宙戦艦が世界を変える」の第三章
”レーザー技術が世界の難問を解決に導く”です。
では先任、内容の紹介を始めよう。

はい、ここの最初の節は”最先端を走る日本の技術”です。
内容はレーザー技術と自由電子レーザー技術で日本は世界トップクラスの技術力を保有しているという事ですが、やはり所々に間違いがあります。
突っ込みますか、艦長?

いや、次節とも被る部分があるんでここは見送ろう。
ただし一つ。
この節では核融合炉を実現するためには一億度前後の高温に半永久的に耐える炉を作る必要があると書かれているが、実際には平気だ。
レーザー核融合の場合、反応は断続的に起こるので、瞬間的に超高温が発生しても炉を冷却する十分な時間的余裕を設ける事ができる。
プラズマ核融合の場合、反応に使うプラズマは超低密度の状態なので、こいつが炉壁に触れてもたいした熱量を伝える事ができないうちにプラズマは冷え切って反応が停止してしまう。
次に進んでいいぞ。

はっ、次の節は”軍事技術としてのビーム”です。
ここでは米軍が
1.レーザービーム
2.粒子ビーム
3.電磁波ビーム
4.プラズマビーム
について研究開発を進めており、中でもレーザービームと粒子ビームはすぐにも実戦用兵器としての使用が可能。
そして軍事用レーザービームとしては
1.炭酸ガス
2.化学
3.フッ化クリプトンガス
4.自由電子
が既に実用化に限りなく近い段階にあるとしています。

炭酸ガスレーザーというのは、現在一般的にレーザー加工機なんかに使われているタイプのレーザーだ、発振効率が非常に高いという長所がある。
化学レーザーというのは、早い話がガスを燃やして発生するエネルギーをレーザーの形で取り出すもので、連続発振が容易なのが特徴。
フッ化クリプトンガスレーザーは「エキシマレーザー」と言った方が通りが良いな、波長が短くて発振効率も高めなので半導体の加工などに使われる。
自由電子レーザーは波長が可変という特徴があるが、軍事利用が可能な水準の出力を出せるようになったのは、21世紀に入ってからの事だ。
が、問題はここだ。
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 自由電子レーザーは一九八〇年代中葉で、既にスタンフォード大学では四〇億電子ボルト、コーネル大学では八〇億電子ボルト、ロシアのノボシビルスク研究所では二二億電子ボルト、ドイツのデシイ研究所では五〇億電子ボルトを達成し、一九九〇年代になると、日本の筑波にある高エネルギー研究所では三〇〇億電子ボルトの自由電子レーザーを完成している。
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”電子ボルト”ってのはビームの出力の単位ではない、波長の単位だ。
そりゃ強力な発振機を使えば、それだけ波長の短いビームが作れるし、ビーム自体のパワーも上げやすいが勿論正比例の関係にあるわけではない。
実際、この時期の自由電子レーザーは電球並みの出力しかなかった。
しかしまあ、そこは放っておいて次に進もう。

すると、”如何にしてマッハ26の弾道ミサイルを照準するか”となるわけですが…

ここの内容は昨今のレーザー兵器の実用化の進展について述べているな。
まあ、最後のところのレーザービーム砲を備えた巨大宇宙船を日米で共同開発し、配備しようという主張以外は取り立てて言うほどの事も無い。

ただし、その次の”全ての紛争と対人地雷、宇宙ゴミ問題を解決”の節ではバラ色と言うか…
まず初っ端から
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 レーザー砲を照射する巨大宇宙船の利点は、あらゆる兵器に対して、その能力を奪う事ができるが、いずれも兵器を操作する人間を少しも傷つけないため、恨みや憎悪の感情を醸成せず、従って報復感情も強く起きない点である。
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と、こうやっちゃってます。

確かにレーザー兵器の長所として付随的被害が少ないという点がある。
これは敵の急所だけをピンポイント攻撃して、周囲に広がる被害を最低限に抑える事ができるという意味だ。
だが、それでも人に当てりゃそりゃあ死ぬ。
…兵器だもんな。
そんなものが宇宙から見張っているとなれば、多分報復感情とは別の感情が芽生える事になると思うのだがな。
また、スペースデブリ対策にレーザー砲搭載の宇宙船を使用する意味はあるかも知れないが、宇宙空間から地上の兵器を破壊して軍事紛争を解決してしまうとか対人地雷をレーザー砲で焼き払うとかいうのは…
「少なくとも今のところは妄想です」
仮に実現したところで、対策を立てる側の必然としてそれを偽装・隠蔽されたりした場合、リモートセンシングだけで紛争当事国の保有する全ての兵器を発見したり、地雷を全て見つけ出したりという事は非常に難しくなる。
そもそもリモートセンシングが万能ではなかったからこそ、米国は衛星偵察一本槍を改めてヒューミントにも力を入れるようになったわけだしな。

次は”温暖化を防ぎ、食糧増産に活躍”の節ですが、ここの内容はレーザー技術を応用すれば環境汚染物質を浄化し、更には食糧生産までできるという話です。

この節はまた間違いがちょこちょこ出てきているんだが、全体の流れから言って最大の問題点は「汚染物質を浄化しても二酸化炭素は無くならない」という事だろうね。
例えばここにはローレンス・リバモア研究所とタイパーズ社が共同開発した汚染物質除去装置「ゼトロン」のものとされる模式図が掲載されているんだが、これは真空中に置かれた電子ビーム発生装置からチタン薄膜の窓を通して電子線を出力し、汚染物質に照射して水蒸気と炭酸ガスに分解するという仕組みになっているようだ。
早い話が燃やしちゃってるわけだな、おまけにレーザー技術ではないし。
当然だが、電子線を作るには電力が必要でそのためには二酸化炭素が排出される。
本節には火山ガスや旧日本軍の遺棄した化学砲弾の浄化に使えるんじゃないかという記述もあるが、断言してもいい。
「ゼトロンじゃ無理」
何故ならば、今言ったとおり燃やしちゃうのがこの装置の浄化原理のようだが、火山ガスには硫黄が含まれているし、旧軍の化学砲弾に使用されているイペリットにはルイサイトが混ぜてあるので砒素が出てくる。
常識的に考えて、この種の元素レベルで毒性を発揮する物質には化学的性質を変化させて人体に取り込まれにくい形態に変えることは出来るかも知れないが、完全な無毒化はできないと思っていいだろう。

あと、食糧増産に関してはこういう記述がありますね。
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 一方、レーザー技術は食料の生産分野にも貢献しつつある。例えば、東海大学では、光ディスクの情報読み取りに使われる半導体を使って、水耕栽培する野菜や花に人工照明を当てる光の代替に成功している。現在、植物の成長を早めるために使用されている人工照明は、ナトリウムランプを光源としているが、発熱して危険なため冷却装置が必要であり、生産コストの三割は電気代と水道代が占めている。
 ところが、光源としてレーザー半導体を使用することによって、水と冷却装置が不要となり電気代も大幅に節約される。これだけでも水耕栽培産業は、二〇〇八年度には二〇〇〇億円以上の市場になったと計算されている。
 これらの技術をロボット技術と組み合わせれば、豪雪や台風、旱魃などで畑での野菜が打撃を受けても、工場で水耕栽培される野菜があれば安定供給が得られることにもなる。こうした技術は、アフリカやアジアそして中南米など飢餓に苦しむ地域に積極的に支援をしていく必要がある。
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まず間違い、東海大学でやってたのは同じ半導体でもレーザーではなく発光ダイオードでしたね。
それに、この種の技術については施設を稼動するのに膨大なエネルギーが消費されるのでむしろ温暖化を加速する事になるのではないか。
また、殆ど無菌状態で作物が栽培されるため主として培養用の液肥から病気が爆発的に広がり大ダメージを与える事がある。
発展途上国などに導入する際、設備を建設するのにも運用するのにも莫大なコストが掛かるのでお勧めできない。
…等の問題点があるとされています。
将来的にスペースコロニーなんかの中で食料を自給自足して食ってゆく分にはいいんでしょうけどね。

そして本章の最終節”医療技術に貢献するレーザービーム”となるわけだが
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 現在は未だ開発されていないが、盲目の人や聾唖の人にしても、あるいは近眼や色盲の人にしても、新たに開発されるレーザービームを外側から照射するだけで、機能を回復して正常な状態に戻すことができるようになる可能性もある。実際、白内障の治療にはレーザー技術が使われているのである。
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いきなりこんな事が書かれているな。
レーザー治療というのは要するに組織を焼き切るわけだから、盲目や聾唖、色盲といった先天的なケースについては適用し難いんじゃないのかな?
こういうのはむしろ再生医療の分野だと思うが。
ただし、近眼については既にレーザー治療は実用されている。
レーシック」というのがそれだ。
…実際には、レーザー治療が実用化される前にメスを使った切開で同様の効果を得る「放射状角膜切開術」というのが実用化されてたんだがな。

あと、ここでは脳外科手術に使用される「電磁場メス」というのが紹介されていますけど、これはレーザー技術ではないですね。
少し調べてみたところ、どうも高周波メスの一種であるようです。

そしてまた後半の部分に来ると話が前後するんだが、中国から輸入される食品に毒物が入っている可能性があるからというわけで
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 こうした毒物が混入された食品に対して、現在のような一部の抜き打ち検査をしなくても、特殊なレーザービームを全ての中国食品や商品に照射して、一瞬のうちに浄化してしまうことも可能となる。レーザー技術はほとんどあらゆる分野に利用が可能なため、多額の基礎研究費を開発に投入すれば、人間生活を豊かにし、かつ安全な社会を実現することも可能になるはずである。
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と、こうやっているな。
先刻説明した通り、例のゼトロンは早い話が焼却処分なわけだから、毒餃子を持って来て電子線を照射した場合、まあ消し炭になるだろう。

まあ、そうそう美味い話があるわけないですよね。
というかこの人、レーザー以外の技術もレーザーということにしちゃってる例が多々見受けられるんですが。

だが、この程度の事実誤認で怯んでいるわけにはいかないぞ。
次章はいよいよ”日本が建造する巨大宇宙船とは”つまり
「ぼくの考えたうちゅうせん」を扱った章となる。

やっちゃうんですか…

やっちゃうんです!

2009年8月21日金曜日

平和宇宙戦艦その2

先任、始めるぞ。

はっ!
今回は「平和宇宙戦艦が世界を変える」の第二章
”日本だけが持つ新型宇宙船の画期的技術”です。

まず"ロケットの打ち上げリスクと構造上の欠陥"の節だ。
ここでまず気になるのは冒頭のコレだな
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 現在のロケットは、地上から大量の化学推進剤を燃焼させて、物体を地球重力に逆らって押し上げているわけだが、この押し上げている時間が長ければ長いほど高性能なロケットと言える。そして、このパワーを「比推力」と呼び、その単位を秒で表している。化学燃料を使ったロケットは、燃料を燃やし尽くすまでの時間は大体四〇〇秒から四五〇秒(六~七分)であるが、この時間のあいだにマッハ8以上の速度をあげながら大気圏を突破し、宇宙空間へと飛び出している。
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…理系の素養が無い人にしてはよくやった方かも知れんが、ロケットの話をする以上、比推力の定義については触れておかなければならないな。
比推力とは1キログラムの燃料を燃焼させて1キログラムの推進力を何秒間発生させる事ができるかということだ。

という事は、日本のLE-7Aエンジンを例にすると、推力が109トンで比推力が429秒ですから、109トンの燃料を消費するのに429秒かかるわけですね。
つまり一秒間に254キログラムの燃料を消費する勘定になる。

余談だが、スペースシャトルのSSMEやエネルギヤのRD-0120エンヂンは比推力的には大体似たような数字だが、推力はおよそ二倍だ。
そして、日本が開発中のH-2BロケットにはこのLE-7Aを二本束ねて使用するという事だから…判るよね?

技本が
「うちの作ったエンジンは推力は小さいが自重に対する推力は大きい」
って言ってるのと似てますね…

話を戻そう。
この節の内容は従来型のロケットには、いまだ未解決の大きな欠陥が二つあるというものだ。
第一にロケット本体が一体構造ではなく、数メートル毎に区切られた輪切状のものにゴムパッキンを噛ませて結合してあるので、強度的にここが弱点になるというもの。
第二に、打ち上げる物体が重くなればなるほど大きなロケットが必要になるため、ロケット本体に大きな負荷が掛かるというもの。
…前者は固体ロケット固有の問題で、後者は物理法則の必然って気もするがな。

…艦長、この人もっと大きなポカやらかしてますよ。
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 実際、打ち上げ数十秒後に大爆発を起こす事故が二〇〇三年二月にコロンビア号を襲い、七人が犠牲となったが、これは断熱材が剥がれてタンクやエンジンを傷つけたことから発生した。断熱材の剥がれから発生する事故を避けるために、ロケットの頭頂部に人工衛星や有人カプセルを載せる場合は、当然ながら物体の大きさは制限される。
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打ち上げのときに爆発したのはチャレンジャーで、コロンビアは再突入のときに空中分解したんでしたよね?

黙っておけ、貴様には武人の情けというものが無いのか?
 さてと、次の節”ジェット機で宇宙へ行ったスペースシップ2”だが、ここの内容は要約するとジェットエンジンの推力と主翼が作り出す揚力を利用すれば容易に高度15キロ辺りまで到達できる。
そして在来型ロケットの場合、ここで機体に最も大きな負荷が掛かり、燃料消費も最大となるので、このあたりはジェット機として飛行し、そこから先はロケットエンジンで宇宙へ飛び出すような機体を製作すれば最も効率的だという話だな。
そしてその事を示す実例として"スペースシップ2"が取り上げられている。

アレってたしか軌道には乗らない弾道飛行ですよね?
極端な言い方をしちゃえば"ナンチャッテ宇宙旅行"…
それを本物の衛星打ち上げロケットと同列に扱うってどうなんですか?

たしかに、例のスペースシップについてはその通り。
ただしジェット機で対流圏を突破し、そこからロケットで衛星を打ち上げようという構想は既に実現している。
アメリカのペガサスロケットがそれだ。
こいつはロケットのくせに巡航ミサイルみたいな翼が生えていて、空中発射によって低軌道へ衛星を投入する事が可能だ。
こいつならジェットエンヂンを乗せれば多分使い捨て型ながらもスペースプレーンになるかもしれない。
スタートレックの出演者の遺骨を宇宙に散灰した事もあったっけ。
ただし、ロケット本体の重量が推進剤込みでおよそ20トン。
こいつが低軌道へ投入する事のできる貨物の重量がまあ400キログラム。
更に打ち上げ時には20トンのこいつをでかいジェット輸送機に装着してえっちらおっちら成層圏まで上昇してゆかねばならん。
ふつーに昔のICBMを魔改造して衛星打ち上げに使ってもあんまり変わらんような気もするな。
早い話が21世紀に入って宇宙旅行ビジネスが活発化しているからといって、そこまで革新的な技術が開発されているわけではないという事だ。

”ロケットに代わる新たな推進技術とは”の節ではエアブリージングエンジンというものを取り上げているようです。
ただし、その前の部分でこんな事が書かれています。
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 この一四〇〇トンもの巨大重量の物体を、翼を使わずに地上から100メートル上昇させるだけで燃料の50%近くを消費し、一五キロ上空に達するまでには燃料の70%近くが消費されてしまうから、化学燃料を使う方式は極めて効率が悪いことが理解できよう。
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上から100メートルと言ったら、発射台離れてすぐですよね?
ターボポンプ回す液体ロケットエンジンでそんな短時間に燃料が半分近くも無くなるなんて、常識的に考えにくいんですが。

まあそれは置いといて、ここはエアブリージングエンヂンの話をしてみよう。
エアブリージングエンヂンとは、要するに大気を吸入する推進器のことで、現在一般的に使用されているジェットエンヂンなんかもこいつの仲間だ。
この種の推進器は大気を使用するため、一般的にロケットエンヂンと比較して燃費に優れている。
例えば液体水素と液体酸素を燃やす場合の理想的な混合比は重量で言うとおおむね水素1に対して酸素8とされる。
つまり、ロケットは推進剤の重量の大部分が酸素なわけだがエアブリージングならこいつを地球の大気中から調達できる。
昔一時期流行ったコンコルドみたいな形のスペースプレーンはこいつを応用してエンヂンの作動限界速度までは水平飛行で横方向の速度を稼ぎ、作動限界から先はロケットで第一宇宙速度まで達すれば最小限の推進剤で宇宙へ飛び出せるという構想なのだ。

…そんな便利なものが実用化していないということは、何か問題があったんですよね、艦長。
やっぱり開発資金が足りなかったとか?

HOTOLなんかはそうなんだろうが、理論的により大きな問題となっているのがエアブリージングエンヂンの作動限界速度だ。
エアブリージングで作動限界速度が最も大きいのは、本節でも紹介されている”スクラムジェットエンヂン”なんだが、今のところこいつはマッハ10前後が作動限界速度のようだ。
ところが第一宇宙速度はマッハ数に直すとまあ25程度にはなる。
一般的に運動エネルギーは速度の自乗に比例するから、これでは推進剤の四分の一も節約できない勘定になってしまう。
早い話が、さっきのペガサスみたいに単なる翼のついたロケットで地上から飛び立った方が余計なギミックを搭載してない分マシ…いや、大気中を水平飛行すると空気抵抗を受けて推進剤が無駄になるので在来型みたいに垂直発射した方がいいという話になる。

ダメじゃん。

で、”日本だけが持つ画期的な洋上フロート技術”の節だが、ここは事もあろうにこのスペースプレーンを飛行艇として作るべきだ、日本には二式大艇の伝統を受け継いだUS-2飛行艇があるから可能だ…という内容だ。

飛行艇設計の難点って、水上を滑走するのに都合の良い形と大気中を飛行するのに都合の良い形は必然的に違うから主として空力性能が犠牲になるという事ですよね?
それで、二式大艇の場合は機体の横幅を極端に切り詰める事でクリアーしたんでしたよね。

しかもUS-2はターボプロップの亜音速機だ。
現実的に言って、空力的な要求がより厳しくなる超音速機を飛行艇として作れるような技術は日本ですら持っていないと言って構わないだろう。

その次は”カプセル型宇宙船の落とし穴は三つ”の節ですね。
その三つの落とし穴というのは「安全性」「天候」「居住性」だそうです。

まず、「安全性」に関してだが、ここでは打ち上げ時に何か不具合が起こってもこれを中断する事ができないという事を言っている。
打ち上げ時には帰還時とは異なり燃料等を消費してないから船体が重く、高度も低いのでパラシュートもきちんと機能するか疑問だと言っているのだが、この種の宇宙船は打ち上げ時に問題が発生した場合は、カプセルについている脱出用ロケットで離脱する事になっている。
従って、あまり心配する必要はない。
次に「天候」についてだが、従来型宇宙船は悪天候のためにしばしば打ち上げや帰還が延長されて地上や宇宙で待機する飛行士に大きな負担が掛かると言っている。
…さすがにコレは贅沢だろう。
「居住性」に関しても、やっぱりペイロードが少ないが故の制限についてウダウダ言って、結果的に30人乗りのスペースプレーン水上機の方が優れていると言うんだな。

そりゃまあ、現実の宇宙船より「ぼくのかんがえたうちゅうせん」の方が性能が高いのは当然ですよね。
だって妄想ですもん。

こらこら、それを言っちゃいかんだろ。
で、最後の”防衛産業と中小企業のパワーが必要な宇宙海洋開発”だが、ここは早い話が軍需・民生両方に使えるハイテク技術をどんどん開発すべきだという事で、細かいところには色々と問題や事実誤認があるが、大筋ではまあ首肯できる内容なので突っ込まない事にする。
…いい加減疲れたしな。

艦長、
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 このHTVは、宇宙空間に達するとロケットから切り離され、自らのエンジンと自動操縦でISSに到達しミッションを遂行している。日本の防衛産業は宇宙船建造技術を完全にマスターしているのである。貨物輸送機器は、他には欧州宇宙機関の「ATV」と、ロシアの「プログレス」があるが、いずれもHTVより小型のため、米国が国際宇宙ステーションに送る水や食料、実験機器などの必要資材を送ることができず、二〇一八年までは日本のHTVを購入せざるを得なくなっている。HTVの価格は一機一四〇億円である。
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このHTVの件については何も仰らないんですか?

ググればいいと思うよ。
このHTVには前にもぬか喜びさせられたしな。

投げやりだ…

2009年8月19日水曜日

みんす党ですが国章毀損です

 ええと、本来でしたら本日は平和宇宙戦艦の第二回をやる予定でしたが、あまりにもアレな事案が発生しているようなので、予定を変更してこの話をお伝えしたいと思います。
…何言ってるんですか、原稿ならちゃんと書きあがってますよ。

 世間様は衆議院議員選挙と高校野球の話題で持ちきりなんですが、おそらく今後政権与党となるのは民主党だという流れになっております。
で、小官が軍板で見かけた意見によると政権は交代しますが、民主党が政権を握ったところで、即座に景気が回復するなんて魔法はないのでやっぱり支持を失い、再び自民が政権を握る事になるだろうという読みでした。

小官は別に政権交代を否定するつもりは有りません。
むしろ定期的に政権交代が起こる事で、政界と財界の癒着が弱くなれば、まああのちょっとダーティなみんすでも首肯できるかと思います。

しかしこないだこんなニュースが入ってきたのです。
ざっと内容を読んだ感じでは「ローゼンの言い掛かりじゃねえのかコレ?」と思いますが、なんとこの問題に佐藤守元空将閣下がトサカを立てられたのです。
たしかに、例の写真を見た感じでは下の丸が歪んでないし中央に縫い合わせたような痕が横に走っているしで、どうも日章旗を二つちょん切って合体させたっぽく見えます。

小官はこの件に関して、閣下のように”党章>国章”という民主党の認識にどうのこうの申し上げるつもりはございません。

しかし、国旗と言ったらそれは日本国の象徴です。
天皇も同じく日本国の象徴ですが、彼には任命権というものがあります。
日本国憲法にも明記されています。

それが今から政権与党になって内閣を組閣し、次期総理になろうという人が国旗を毀損したと言われて
「民主党のマークは確かに国旗を切り刻んで作れるかもしれませんが…」
これは無いでしょう。
かりに国旗を切り刻んだ事実があったとしても、ここは言い掛かりだと抗弁するべきでした。

民主党の議員にはハニートラップに掛かっている者が多いとも聞きますが
…こういった事案を見ると、こいつら短期間でも政権を取ったらその間に一体何をやらかすのだろうと思ってしまうわけです。

2009年8月12日水曜日

平和宇宙戦艦その1

先任、居るかい?

艦長…
私の出番ということは、例によってトンデモ本批判ですか?

自分の役どころを弁えているではないか。
今回はこの本「平和宇宙戦艦が世界を変える」だ。

たしか週刊オブイェクトで自衛隊幹部学校の講師が書いたわりにはあまりにもアホな本として紹介され、それを「SFと軍事の両方を扱ってる」ということで艦長が物好きにもジュンク堂へ行って入手されたんでしたっけ?

そのとーり。
本当だったら技術面だけに絞って
"平和宇宙戦艦なんてものが本当に可能なのだろうか"
という話をしたいところだが、そうは言ってもネタが無い。
それにお前さんにも出番を与えたいから七回シリーズで行こうと思う。

そうですか…

そんなわけで、今回は第一回。
"高度技術でプロジェクトXを立ち上げよ"の章を扱おう。
この章の内容は
・地球を悩ます諸問題
・地球外からも危機が迫っている
・日米同盟の価値は大幅に減少している
・中国の対日戦略は日本を属国化すること
・日本が今始めなければならないことは
・世界が求める日本のリーダーシップ
・日本のプロジェクトXは人類を幸せにする
となっているな。
とりあえず、今回は各節の内容を紹介して突っ込みを入れようか。

するとまず、”地球を悩ます諸問題”の節からですね。
いきなり論理構造が一貫していないグダグダな長文が続くんで、なんか読んでて疲れるんですが、ここの内容は
1.経済問題
2.地球温暖化・環境破壊
3.軍事紛争
4.食料・エネルギー
5.未知の病原体
といったものが問題になっているにもかかわらず、大国は国益の追求をやめようとせず、日本は専らその傍若無人の被害者になっているという事のようです。
しかし、自分なら”地球温暖化・環境破壊”と”食料・エネルギー"は一つに纏めますがね、軍事紛争を扱った部分でも温暖化の話を混ぜ込んじゃってるし。

うむ、そもそも地球規模での問題を国際的に解決しましょうという話と日本が外交で押されまくっているという話を一緒にする必然性がなぁ…

で、その次が”地球外からも危機が迫っている”ですね。
ここは小惑星落下の可能性について述べた箇所なんですが、気になる部分があったんでちょっと引用してみますね。
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 元々、二〇三〇年に小惑星が地球に衝突するという情報は天文台や人工衛星からではなく、ブラジル人預言者のジュセリーノという人物が数年前に見た夢に顕れたとして、米国NASAに手紙を送っていたものである。彼はまた9・11テロに関しても、日本のサリン事件も数年前に夢に現れたと述べている。
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ジュセリーノですって、艦長。

「やっちまったなぁ」だよな。
仮にも専門家を名乗る人間が預言者の言ったことをソースにしちゃいかんだろう。
ちなみにこの人、今年の夏は日本でコレラが大流行すると言ってたそうだ。
今更説明するのもなんだが、地球にぶつかりそうな小惑星を「発見した」と言うためには最低でも何時頃どの方向から飛んでくるかという情報を提示してそれが実在する事が第三者によって確かめられなきゃマズイと思うんだが。
…贅沢を言えば○月○日から×月×日にかけて△△座を通過するくらいの情報は無いとな。
従って、コレはふつーにスペースガードの人達の努力の賜物かと。
で、このスペースガードという団体は日本にもあるわけなんだが、ここの節の結びの部分はこうなっている。
==============================
 日本は二〇〇八年に宇宙開発戦略本部を設置したが、小惑星の探査を米国だけに任せていては、小惑星からの危機や宇宙開発等で米国と対等に渡り合うことなどできないことを認識する必要がある。
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なんで本にする前にもう少し調べてくれなかったのか…

そして、”日米同盟の価値は大幅に減少している”ですね。
ここの内容は米国民主党は伝統的に日本敵視・中国愛好なので今後必要以上に日本叩きをしながら中国と接近してゆくだろうという事みたいです。

たしかにここは大筋では合っている。
日米同盟とて永遠ではないし、日本が強くなりすぎればこれを叩くというのはアメリカとしては当然の事だ。
しかし、一度アメリカの立場に立って考えてみると、日本ばかりではなく中国或いはロシヤ、どこか一国が強くなり過ぎるという事は即ち東太平洋の制海権を脅かされる事を意味する。
あの国は太平洋を自分の庭の池みたいに思っているわけだから、これは由々しき問題だ。
というわけで、日本にはこの二国の蓋をして欲しいし、その分際を弁えないのなら遠慮なく叩くという事だろう。
理想を言えばこの三ヶ国には互いに牽制しあっててほしい。
…逆に最悪のパターンはこれらの国が同盟してアメリカに立ち向かうようなケースだろうね。
さて、次の節では当の中国について述べられているわけだが。

はい、”中国の対日戦略は日本を属国化すること”の節ですね。
ここの結論はつまるところ
==============================
 ともあれ、中国は日本を徹底的に利用し毟り取る国家戦略を追及し、最終的にはかつての王朝が行った冊封体制の中に、日本を属国として取り込むことを目標としていると断言できよう。では日本はこうした国々の戦略に対して如何に対応すれば良いのであろうか。
==============================
という末尾の部分に集約されていますね。

中国は野心的な国家である。
これもまあ大筋では正しい。
しかしここで、当の中国が日本を必要以上に脅威視しているという点が述べられていないのはどうもな…
国土は狭く、人口はこちらの十分の一でろくな資源も無いのに経済力は同等で加えて世界トップクラスのハイテクを保有している。
しかも中国へは過去に来寇してきた事実がある。
というわけで、日本に右翼政権が現れたら持ち前の経済力とハイテクを背景にあっという間に核武装して軍事大国化してしまうに違いない、少なくともその能力がある。
だから日本の世論が右に振れるような事態だけは是が非でも避けねばならない。
…というのが中国人の考えている事らしい。
むろん、だからと言ってそれに同情して日本だけ軍縮を進めたり必要以上に中国に媚びるような政策をとる必然性は無い。
小官個人の意見として、特に警戒すべきは日米離間策だな。

…これでやっと半分なんですか。
なんだか政治の話ばっかりですねぇ

そりゃまあ、この先生文系らしいからな。
で、次の節”日本が今始めなければならないことは”だが、
1.安全保障問題
2.経済問題
3.中国対策
4.政治屋の無能
…とまあ四つの問題を解決しなきゃならないんだそうだ。
政治屋の無能をどーにかすれば他はすぐにでも方が着きそうな気もするが。
で、結論はと言うと
==============================
 日本の場合は兵器開発をして戦争を起こすのではなく、ハイテクを利用した公共事業として「巨大プロジェクトX」を立ち上げることである。このプロジェクトを立ち上げれば、国内の大企業はもとより中小製造業を活性化するために内需が大幅に拡大することになる。
 それによって、ほとんどあらゆる経済産業界が参加できる裾野の広い基幹産業が成立し、同時に優秀な若手研究者・技術者も大量に雇用ができ、日本経済は米国やEUそして中国等のGDPを合計した数字をはるかに凌ぐGDPを掌中にすることは間違いない。そのためには、政府はプロジェクトXのために巨額の財政支出をする必要がある。
==============================
だそうな。

”兵器開発をして戦争を起こすのではなく”って…
この本の題名はたしか「平和宇宙戦艦が世界を変える」でしたよね。
宇宙戦艦って、兵器じゃないんですか?
それに、お金って回るものでしょう?
日本のGDPが米・中・欧の合計を凌ぐって、ドルに代わって円が世界の基軸通貨にでもならないと無理なんじゃ…

序盤の時点で現実と願望をかなりごっちゃにしてるよな。
こんな調子でずっと続いてくれると困るんだが、次の節
”世界が求める日本のリーダーシップ”では更に電解強度が高まる事となる。
==============================
 核兵器や弾道ミサイルの獲得に地道を挙げている世界に対抗して、日本も核戦力を持つのでは永久に世界は平和にならない。世界で最先端の技術力を誇る日本は、核戦力を全く無力化してしまう技術を開発してこそ、世界平和に貢献することになる。
==============================
で、日本が国家を挙げて取り組むべきプロジェクトは海洋・宇宙開発技術とレーザー等のビーム技術なんだそうな。
まず、”核戦力を全く無力化してしまう技術”というのがな…
それに戦史をひもとくと、昔の列強は核戦力の整備に血道を上げるが如く戦艦の建造競争をやったもんだが、これが空母の登場で全くの時代遅れになってしまった。
では空母で世界が平和になったかというと、空母で戦争するようになってしまった。

という事はですよ艦長、この人のプロジェクトが実現した場合ガンダムか何かみたく宇宙空間でドンパチやってデブリが発生しまくるわけですか?

確実にそうなるだろうね、こればっかりは人間という生き物の業みたいなもんだ。
で、最後の節になるわけだが。

”日本のプロジェクトXは人類を幸せにする”ですね。
ここは要するに宇宙開発について述べられている部分になるわけですが…

まず気になるのはこの部分だな
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 一方の米国は、スペースシャトルの開発が間違いだったとして、二〇一〇年にはシャトルを引退させ、国際宇宙ステーションでの研究活動からも撤退を表明している。米国はスペースシャトルに替えて、貨物の運搬を「宇宙エレベーター」で行う予定である。
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アレスロケットは無い事になったんですか?

たしか米国の動向としてはシャトル退役後はソユーズのチャーターでアレス実用化までお茶を濁すんでしたっけ?
軌道エレベーター」はそのずっと先にある目標でしたよね。
どのみち、オバマの民主政権じゃそれも確実に縮小されるでしょうが。

軌道エレベーターに関する記述では他にも気になった部分がある。
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 宇宙エレベーターに使うケーブルは、重力と遠心力の引っ張りに耐えるために鋼鉄の一八〇倍以上の強さが必要となるが、呆れたことに、その素材はなんと日本企業が開発済みの「カーボン・ナノチューブ」と、推進力として高性能の日本製電池を利用することを考えているのである。電池へのエネルギー供給にはレーザービームを利用する事を予定しているが、日本が決心さえすれば、宇宙エレベーターの実用化を最速で達成できる国家なのである。
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カーボンナノチューブって、たしかに日本企業が売っているが、あれは研究試料としての用途が主で構造材料としての実用化はまだまだ先の話だった筈だぞ?
現在のカーボンナノチューブ研究のトレンドはたしか集積回路で、細くても大電流を流せ熱伝導率が高い性質を応用できないかという事だったと思う。
宇宙エレベーターのケーブルなどに使用する構造材料としての用途は今のところカーボンナノチューブの長繊維が大量生産できないことから、まだまだ実験段階だったと記憶している。

あれっ?
艦長、この人アレスロケットの存在は認知しているみたいですよ、ホラ。
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 さて、米国が国際宇宙ステーションから撤退する理由のもう一つは、無重量状態にある宇宙ステーションに高い金と危険を犯して出掛けなくとも、地上において無重量状態を作り出すことができるため、宇宙ステーションを利用することはない、という考えに基づいている。同じリスクならば、直接火星に行って研究や実験を行う方が、多くの点でメリットがあると計算しており、そのための資材運搬用として「アレス」という巨大ロケットを開発中である。
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…アレスロケット開発の目的の一つに有人火星探査計画があるのは事実だが、あれは基本的にはシャトルの代替として開発されてた筈だ。
それに、地上で作り出せる無重量状態はせいぜい数秒程度なんで、宇宙ステーションの実験環境とは比べ物にならない。
むしろNASAが月探査計画や火星計画で考えているのは資源開発や宇宙殖民…極端な話をするとテラフォーミングなんて話もあったと聞くがの。

でまあ、本章の結論としては、日本は地球が抱えている難問を解決し、世界平和に貢献し、日本を太陽が沈む事の無い経済大国に押し上げるような宇宙開発をするべきだという事のようですね。

なんかこう、玉虫色の理想論という気もするが…
この目的を達成できるような宇宙開発といったら、ふつーに地球外資源を開発して日本が慢性的に抱えている資源不足を解消するとか、スペースコロニーを建造して増えすぎた人口をそこへ移民させるとかすればいいと思うんだがな。

ファーストガンダムの世界ですよね。
現時点では宇宙へ行くための輸送費が掛かりすぎる事が問題で、さっき出てきた宇宙エレベーターなんかはそれを解消しようという構想なわけなんですが。

なんだってそこで宇宙戦艦が出てくるかが疑問だが、それは次章で扱う事になるようなので、今回はここまでとしよう。

了解。

2009年8月7日金曜日

買って…しまった!

 ラプたんの生産中止が決定した一方で、ライトニング2は垂直離着陸型の量産一号機が完成したようです。
それなのに空自の偉い人はまだラプたんに拘っているようで…
どのみちF-Xは退役するファントムの穴を埋めるためのものなんですから素直にF2増産でいいと思いますけど。

…まあ、将来的に国産でステルス戦闘機を作るって言うならタイフーンなんか良さそうだと思いますけどね。

 さて、このあいだオブイェクトで紹介されていたトンデモ本なんですが、小官はジュンク堂へ行って買ってきてしまいました。
お値段1800円。

エスエフとミリタリを扱うというこのブログの性格上、言及せぬわけにはいかぬということで購入に踏み切りましたが、内容をざっと読んだ感じネタが少なそうでどうも損をした気がぬぐえません。
まあ、いいですけどね。

2009年8月5日水曜日

デススター計画の提唱者が自衛隊の講師をしているそうです

 明日は広島原爆の日ですね。
…この時期は何と言うかどの局も毎年同じ番組で似たような恨み節を披露してくれるのでどうもアレなんですが。

 さて、小官は以前与那国島で町長が自衛隊を誘致すると言い出してもめているというをしましたが、どうやら民意は町長を支持したようです。
とはいえ、与那国島に自衛隊を置く意味ってのがどうも疑問なんで実現するかは判りませんが。

ところが、そんな中オブイェクトから
平和宇宙戦艦というものを提唱してる人が自衛隊の講師をしているぜ!
という話が入ってきたのです。

宇宙空間にレーザー砲プラットホームって
…デススターって言わんかコレ
もしくはアークバード

右が強くなるのも左が強くなるのも考え物です本当に。

ところが、小官的にはこっちの方がより悪いニュースであったりします。

そりゃあたしかにUSBの方が小さくてお手軽で大容量なのは判りますよ。
今じゃ使えないパソコンのほうが少ないし…

だけど敢えて言います。
「MOの方がカッコイイ!」